映像素材ガイド:特徴と使い方
動画や映画を制作する作業では、お金がかかります。カメラや照明器具を購入したり、すばらしい映像を作るために時間をかけたりすれば、容易に予算を超えてしまいます。
映画、コマーシャル、ミュージックビデオ、ニュース映像などを制作する際、誰でも時間と費用を節約できる方法の一つが、映像素材です。映像素材であれば、時間や経費をかけて作った映像を、他の人が各自の用途で使えるようになります。
コンテンツをすべて映像素材で作成するのは容易ではありませんが、一部の場面に映像素材を使用するだけでも、制作の負担を和らげることができます。
映像素材とは?
映像素材は、ストックビデオやBロールとも呼ばれ、撮影済みの映像のことを指します。映像素材を購入すれば、さまざまな用途で使用することができます。映像素材は、ライセンスすることが可能です。それにより、映画制作者であれば、オリジナルの映像を撮影する時間と費用を節約できることになります。
一般的な映像素材として、スポーツ、動物、家族、自然、空撮、都市景観、食べ物、スローモーション、移動などがあります。
映像素材はどこで見つけられる?
ビジュアル素材を扱うiStockなどのウェブサイトでは、映像素材があります。映像素材を扱う大半のウェブサイトは、何千もの映像素材を検索したり、並び替えたりして、用途に合ったものを見つけられるようになっています。
パブリックドメインの映像素材はありますか?
はい、あります。パブリックドメインの映像素材は、その映像に著作権が付いておらず、自由に使用することができます(稀に例外があります)。
パブリックドメインとしてみなされるには、数多くの方法があります。
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著作権の期限が切れると、映像素材がパブリックドメインになることがあります。著作権の期限が切れたかどうかを判断するのは、世界中で法律が異なるため難しい場合がありますし、時代とともに法律が変化することも、判断を困難にしています。
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アメリカ連邦政府の職員が職務上の目的で撮影した映像も、その直後にパブリックドメインとして扱われます。
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映像素材の制作者が著作権保護を放棄して一般に寄贈する場合も、その映像素材はパブリックドメインになります。
パブリックドメインの映像素材を検索できる場所には、archive.org などがあります。ただし、使おうとしている映像素材がパブリックドメインになっているかは、事前に再確認するように気を付けるようにしましょう。
映像素材にはどんな使い方がある?
映像素材で考えられる利用方法は想像力次第でいくらでも広がりますが、とくに一般的なのは次のような方法です。
Bロールとしての映像素材
一貫して使われている方法の1つが、Bロールです。Bロールとは、映画やテレビ番組、ニュース報道などで使用される補助的な映像のことです。メインの映像を補助する映像であり、そうしたメインの映像と映像の間に挟み込んだり、異なる映像をつなげたりする用途で使われます。
Bロールの身近な例は、次のとおりです。
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都市の場面と場面の間に挟む歩行者の映像。
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農場が舞台であることを示す家畜の映像。
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地理環境を表現するための都市の空撮映像。
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場面と場面の間に挟んで時間の経過を表現するタイムラプス映像。
CMや広告での映像素材
映像素材は、メイン映像として使うこともできるほか、オリジナルの映像を必要としないCMや広告などでBロールとして使用することもできます。
例えば、薬剤の広告であれば、笑顔のカップルや運動を楽しんでいる人の映像を使って、そこにナレーションを入れるという使い方が考えられますし、夕べの食卓を囲む幸せそうな家族の映像を使っても良いでしょう。こうした映像は、CM用に撮影すると1シーンあたり数十万円かかることもありますが、映像素材であれば、数万円で複数の映像が手に入ります。
背景に使う映像素材
背景で使える映像素材だけが必要なときもあります。ウェブサイトの背景に使うこともできるほか、クロマキーで使うこともできます。イベントの待合室でディスプレイに表示するために使うことも考えられます。
映像素材が高い理由
写真素材と比較すると、映像素材は高価な印象があります。映像や映像素材サイトによっては、数万円に上ることもあります。
ただし、映像素材の値段と、自らBロールや補助映像(さらにはメイン映像)を撮影するコストを比較すると、映像素材の方がはるかに安価に思えるはずです。
自ら映像を撮影する場合のコストについて細かく見ていくと次のようになります。
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カメラ(レンタルまたは購入)
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メモリーカード
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三脚やスタビライザーなどの関連機材
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映像編集ソフト
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カメラマンとディレクター
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役者や有料の被写体
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旅費
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撮影/編集のための時間
ビデオカメラ、メモリーカード、付属品、ソフトなどをすでに持っていても、撮影のたびにお金と時間がかかります。映像素材を使うのであれば、撮影の手間がかからなくなりますから、それを考えれば、映像素材は安価に思えてきます。
なぜ映像素材は写真素材よりも高価なのかという疑問に戻りましょう。前述のリストを見れば、その答えがわかります。このリストのコストが映像素材の制作でかかります。そして、その撮影や編集では、写真素材の制約よりも時間とコストがかかることがあります。
写真素材では、フォトグラファーは1回の撮影で数百枚の写真を写真素材サイトに掲載することができます。一方、映像素材の場合、ビデオグラファーは1回の撮影で数本の映像を得ることができるものの、写真素材の数には及びません。こうした希少性と費用により、映像素材は写真素材よりも高価なものになっています。
映像素材を探すときに意識すべきこと
映像素材をライセンスするまえに注意すべき点があります。
映像素材と他の映像がマッチしているかどうか
制作物でローファイな雰囲気を演出したい場合、4K画質で撮影されて輝いて見える映像素材は必要ありません(編集によって、その映像素材を自分のイメージに合わせられる場合をは例外です)。
意図した表現に映像素材が的確かどうか
ニューヨークを舞台にした映像であれば、パリで撮影されたと明らかにわかる映像素材は使いたくありません。映像素材の中には、どこで撮影されたかわからないようなものもありますが、都市の映像や空撮映像では、特定可能な光景が映っていることが多いです。
必要なサイズと画質でダウンロードできるかどうか
iStockでは、以下のサイズと解像度でダウンロードできる映像素材がほとんどです。
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Web(標準):640×360 @ 30 fps H.264
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HD Web:1280×720 @ 30p H.264
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HD:1920×1080 @ 30p H.264
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HD:1920×1080 @ 30p ProRes 422 (HQ)
映像素材サイトの中には、パブリックドメインの映像素材や無料の映像素材を主に扱っているものがあり、そうしたサイトでは、利用できる映像素材のバリエーションが少ない場合があります。そのため、必要なサイズの映像素材を見つけられない場合も考えられます。
無料の映像素材を利用できる場所
無料の映像素材を提供しているサイトはいくつもありますが、そのほとんどでは、有料で映像素材のライセンスを提供するサイトにくらべて素材数が充実していません。さらに、無料の映像素材を提供しているサイトでは、素材に関する法的な補償を提供していないことがほとんどです。一方、有料で映像素材のライセンスを扱うiStockのようなサイトでは、品質保証や法的補償を提供しています。
ただし、パブリックドメインの映像素材を調達する場合は、archive.org が便利です。米国議会図書館、BBC Worldwide Learning、NASA Media Archive、Open Video Projectなどでも映像素材を見つけることができます。
高品質な映像素材を無料で使いたい場合であれば、いくつかの映像素材サイトで提供されている無料の映像素材を使うといいでしょう。iStockでは、毎月3本の新しい映像素材を無料で提供しています。
労力と経費を削減できる映像素材の仕組みは、いかがでしたか? iStockで扱っている多数の映像素材をカテゴリー別に検索してみましょう!