プロが教えるデザイントレンド活用 5つのヒント

 In 各種トレンド

1059318184, Oleh_Slobodeniuk

プロのデザイナーやマーケターにとって、クリエイティブなトレンドを意識しておくことは極めて重要です。これはメカニックが、仕事の質を高めて迅速化する新しいテクノロジーをフォローしていなければ、効率的な仕事はできないのと同じです。デザインにおいては最新のデザイン言語やスタイル、タイポグラフィをフォローしておくことで、プロジェクトは現代的でパワフルなものになります。そこで、今回はデザイン業界で豊富な経験を持つ数人のプロを招き、彼らがどのようにトレンドを読み解いているのか話を聞いてみることにしました。ニューヨーク在住で世界最大級のテック系企業のデザイナーを務めるTaylor Gibbs氏に加え、Getty Imagesのクリエイティブディレクターを務めるKruti JoshiおよびPeter Noahの両氏に、デザイントレンドの実践的な活用法を語ってもらいましょう。

プロジェクトに関係していないときも良好な基準を得ておく

5 Tips From Creatives on Using Design Trends in Your Work_0002_GettyImages-1157512200.jpg1157512200, enviromantic

トレンドの兆候は曖昧な形で現れます。これらを見分けるのは先を見通すというよりは振り返る作業になります。「トレンドがはっきりとした形になるまで待っているとしたら、おそらくそのトレンドを有意義に活用するチャンスを見逃していることになります」と語るのは、Gibbs氏です。重要なのは、プロジェクトに取り組んでいるときもそうでないときも、デザイナーあるいはマーケターとしてトレンドをキャッチする方法を見つけておくことです。Noah氏は「私の場合、Instagramで複数のデザイナーをフォローして、彼らがどんなアカウントをフォローしているかチェックします。それに、Designspiration.comのようなサイトも見ています」と語ります。これらは他のデザイナーたちが作り出しているトレンドをフォローしておくための方法として素晴らしいものといえます。こうすることで、トレンドを利用する必要が出てきたときにすぐ用意ができるはずです。

トレンド全体ではなく、その要素を活用する

5 Tips From Creatives on Using Design Trends in Your Work_0005_GettyImages-1134123617.jpg1134123617, Tera Vector

デザイントレンドを自分の作品に取り入れる際に重要なのは、トレンドをそっくりそのままコピーしないことです。とはいえ、トレンドの小さな要素を自分自身の作品に取り入れるのはOKです。「たとえば雑誌を眺めているときでも、内容を読んでいないことはよくあります」と語るのはJoshi氏です。「紙媒体は、レイアウトとカラーパレットのコンビネーションを確認するのに最適なのです」 Noah氏はまた、タイポグラフィのトレンドについても同様の方法でインスピレーションを探っているといいます。トレンドの本質的な部分に刺激を受ければ、自分なりの方法で、デザインの道具として使えるようになるというわけです。

「なにが」だけではなく「どうして」を把握する

5 Tips From Creatives on Using Design Trends in Your Work_0004_GettyImages-1130126334.jpg1130126334, martin-dm

「一番よい出発点は、自分がフォローしているデザイナーやブランドをチェックして、自分がどんなものにインスピレーションを受けるかメモしておくことです」とGibbs氏は語ります。「それから、その作品の根幹となっているエッセンスを探っていくのです。なぜこの作品に自分はインスピレーションを受けているのか? これを理解できれば、より深い部分を出発点にできますし、自分なりのアレンジが加えられるようになります」 多くのブランドがトレンドを表面的に取り入れているなかで、トレンドの意味を理解すると本当の意味で自分のものにできるので、この方法はソーシャルメディアなどのコミュニケーションプラットフォームにおいては重要です。トレンドを本質的に理解することで、そのトレンドの力強さを使いながら、情報過多のマーケットの中でも際立った存在感を示すことができるでしょう。トレンドに対してこのような姿勢で接することで、iStockでの写真検索を行う際にも大いに役立ちます。よくあることですが、ある特定の色(たとえばミレニアルピンクやZ世代イエローなど)がトレンドとなるケースがあります。ですが、ただ単に色を検索するよりも、その色が想起させようとしている感情を検索した方が良い結果を得られます。ミレニアルピンクの場合、検索例としては「クラッシーなローズゴールド」または「ソフトでメタリックなテクスチャ」といったものが挙げられるでしょう。このようにすれば、単にその色だけではなく、トレンドの内面に隠されたムードを表現できるのです。Joshi氏は「トレンドをむやみに追っていると、自分の個性が埋もれてしまいます」と続けます。「自分の今日性をアピールしながら周囲と差別化するバランスを見つけることが重要です」

トレンドと自分の相性に注意する

5-tips_new.jpg1095507386, MStudioImages

デザイントレンドが効果を発揮するのは、自分のブランドやメッセージにふさわしいときだけに限られます。「そのブランドが持つそもそものコンセプトとトレンドの相性を考慮すべきですね」とNoah氏は語ります。「たとえば『ペット』がトレンドになっているとして、自分の仕事が金融サービスだとすれば、単に子犬の写真を使うだけでは意味をなさないはずです。ですが、ひとつの家族の写真を提示して、その背景にペットを組み込めば、生活におけるひとつの理想像を示しつつ、それがどのように顧客の財務目標に適合しているかを示せば意味のあるものになるでしょう」 これはおそらく最も重要なアドバイスでしょう。なぜなら、トレンドとはしばしば極端なものであり、あるセクターに向けた強い個性を伴っている場合が多いからです。単にトレンドに便乗しているだけでは、そのクリエイティブプロジェクトは実に押し付けがましいものになり、最悪の場合は企業が目指すゴールから完全にはずれたものになってしまう恐れがあります。「ヒップスター的なイメージはすっかりやりつくされたものになりつつあります。たとえば、ヒゲを生やしてフランネルに身を包んだ男性のようなイメージですね」 とGibbs氏は語ります。「ブランドの多くでは、多様でグローバルなオーディエンスに訴求することが重要になっています。特に、強い印象や文脈を与えるトレンドの利用は、新鮮で普遍的な個性を打ち出す必要があるブランディングには役立ちません」 つまるところ、トレンドはあくまで参考程度でしかないということであり、ブランドのリアリティを表現し、それがどのように世界にあてはめられるかがより重要になるのです。だからこそ、iStockは常に人々の生活を忠実に捉えることを目指し、見る人が押し付けがましく感じず、リアルに感じてもらえるような無数のストックフォトを提供しているのです。

トレンドは参考程度にしておく

5 Tips From Creatives on Using Design Trends in Your Work_0001_GettyImages-910228896.jpg910228896, timnewman

「すべてのトレンドがポジティブなものとは限りません」とGibbs氏は切り出します。「その名が示すとおり、しばしばトレンドとは短命で一過性のものであり、決して永続的なものではありません。その多くは反動なのです。あるピークに達すると、トレンドは飽和し、マーケットはそれと逆の反応を示します」 ここで重要なのは、最初のアドバイスに立ち返ることです — どこでも目にするようなトレンドを追うだけでなく、個人的に興味を持っているブランドやデザイナーの動向をフォローしてみるのです。また、クリエイティブ・インサイトでは定期的にトレンドやマイクロトレンドを紹介しておりますので、わざわざ検索をしてなにが流行しているのか調べる必要はありません。クリエイティブ・インサイトをチェックしておけば、デザインシーンの動きをトレンドが飽和する前に正しく把握するのに役立つはずです。最後に、Joshi氏からのアドバイスを紹介しましょう。「人々がトレンドに反応するとしたら、どのようにして自分の作品で同じような反応を引き出せるでしょうか? 仮に人々がそのトレンドを好ましく受け止めているとしたら、おそらくそれは根本的なテーマによるものです。だからこそそのテーマを自分なりに咀嚼して作品に取り入れることは、単にトレンドの表面をなぞるだけよりもはるかにパワフルなことなのです」

この記事は役に立ちましたか?
この記事をシェアする
最新のアドバイスをiStockから受け取る
この記事も好きかも